エピソード10-4「幸福度が高い人の特徴」

 
『うん。

ポジティブな思考をしつづける方法があるんだけど知りたい?』

 

「ぼく疲れているんだ。」

 

『この方法を知ったら、良い気持ちで寝ることができるよ。

良い気持ちで寝るのは自分のためだよ。

今の自分のため。明日の自分のため。

やってみない?』

 

ぼくは明日こそ良い気分でいつづけたいと思って、頷いた。

 

「・・・わかった。」

 

『まずは今日1日を、朝から振り返ってみてほしんだ。』

 

「さっき振り返ったよ。」

 

『さっきは今日1日にあった心地悪かった出来事にスポットを当てていたでしょ?

次は今日1日にあった「感謝」したいことにスポットライトを当てるんだよ。』

 

「でも、今日はひどい1日だったんだ。

感謝できることなんてないよ。」

 

『そんなことないよ。

どんな日にも感謝できることは数え切れないくらいあるんだよ。

優くんが見逃しているだけなんだよ。』

 

「そうかな。」

 

『そうだよ。

じゃあ、まずはぼくからいくね。

 

・朝、今日も当たり前に目が覚めた。

・呼吸をしている。

・体が動く。

・声がでる。

・今日も今日を過ごせる。

・大切な人たちと今日も会える。

・大切な人も今日も目覚めている。

・おかあしゃんが微笑んでくれた。

・おとうしゃんが「おはよう」って声をかけてくれた。』

 

「まって、アーシャ。

なんだか、当たり前のことしか言ってないけど。」

 

『ぼくにとっては当たり前じゃないんだ。

優くんは当たり前だって思っているんだね?

当たり前じゃないよ。

どんなこともありがたいことだ。

 

当たり前のことが当たり前にあるって思う人よりも

当たり前のことが奇跡だって気付いている人のほうが幸福度は高い。

 

どうしてだかわかる?』

 

ぼくは顔を横に振る。

 

『小さなことに感謝できるからだよ。
 

日々のささやかなことに感謝できる。

幸せな気持ちってね、感謝から生まれるんだよ。

 

不満ばかりの人は人生に感謝しない。

だから幸せにはなれない。

 

この世界にある全てが奇跡だと思わない?

今日もこうして生かされているんだ。
 

寝ている間にも体は自然にぼくらを生かしてくれている。

内臓が休まず働いてくれているおかげで呼吸もできて心臓も動く。

 

大切な人がいる。

 

この世界には奇跡しかないんだよ。

今、あるものを見て。

与えられている今日を感じて。

奇跡しかないよ。』

 

アーシャの言葉を聞いていると、

本当にこの世界に当たり前はないんだって思った。

 

ぼくは考えたこともなかった。

当たり前が奇跡だなんて。

 

『ほら、優くんもやってみて。

最初のうちは紙に書いてみたりスマホのノートや日記に書いてみて。

目で見えるようにした方がわかりやすいから。」

 

ぼくは紙とペンを用意した。

 

「アーシャの真似をしていい?」

 

『もちろんだよ。真似なんかじゃない。

優くんは「当たり前」を「奇跡」だと感じ始めている。』

 

ぼくは、ぼくの1日を丁寧に思い出しはじめた。

ノートのいちばんうえのところには「今日に感謝します」と書いた。