エピソード4 「世界は不公平?」
アーシャに
『ちょっと休憩ね。』
と言われたので、ぼくは朝食をとった。
今日の朝食は
目玉焼き(硬すぎず柔らかすぎない黄身が流れないくらいの焼き加減)、
サラダ(レタス・ブロッコリー・トマト・コーン)、
ミネストローネ(ベーコンが入っている日と入っていない日があって、今日は入っている)、
食べる時に自分で焼く食パン。バターとイチゴジャムを塗る。
アーシャは、ぼくがご飯を食べているとき、お皿に手を添えている左手の腕のあたりに顎をのせる。
そして上目使いでぼくを見る。
うるうるとした大きな瞳。
小さいけどぎっしりと生えているまつ毛。
自分の可愛い角度を知っているんだ。
ずるい・・・。
見ないようにすると、ふん、ふんと鼻息をかけてくる。
かわいい。
かわいすぎて、おやつをあげてしまう。
アーシャの思う壺だと分かりつつ、いつだっておやつをあげてしまうんだ。
食べ終わってボーっとしていると、不意に会社であった嫌なことを思い出してしまった。
ふとスマートフォンが目に入りSNSを開くと・・・
ヤツがでてきた。
ヤツは同僚。
めちゃくちゃ、嫌なやつ。
成績はトップで、それをいつも自慢してくる。
上司に気に入られていて、いつもぼくをみくだしている。
今日は休日だから朝からジムに行っているらしい。
いちいちSNSで自分の筋肉を見せている。
「けっ!誰もみたくないよ!」
『でもフォロワー結構多いね。』
アーシャがぼくのスマートフォンをチラリと見て言った。
ぼくの気分は最悪。
悪い気分。
♩ ♬ ♪ ♫
『優くん、電話みたいだよ。』
「もしもし。
あ、おはようございます。
はい、はい。
明後日ですか?
あ、いや、大丈夫です。
はい。
では失礼いたします。」
『なんだったの?』
「上司からだった。
月曜日いつもより1時間早く行くことになった。
は~。
せっかくの休日なのに憂鬱。」
『そうなんだね。』
「いつだって世界は不公平だ。
ぼくはいつだって運が悪い。
あの筋肉バカが会社に1時間早く行けばいいのに、どうしてぼくなんだ。」
『優くん、世界は平等だよ。』
「不公平だよ!!
運が悪くて、辛いことが起きて苦しんでいる人(ぼく)がいる。
そして不思議といつも運が良くて楽ばかりしている人(あいつ)もいる。」