エピソード21-3「自分を見守ってくれている存在」

 
『ぼくも優くんに出会えて幸せだよ。ありがとう。

優くん、夜のお散歩に行かない?』

 

「もう21:00だよ?」

 

『うん。でも今日は行きたい気分なんだよ。』

 

「よし!行こう。」

 

外にでると、ほんのり空が明るい。

そうか。今日は満月なんだ。

あの日から1ヶ月が経った。

まだ1ヶ月か・・・。

短い期間に、ぼくの心は大きく変化した。

人は変われるんだ。

 

ぼくとアーシャはのんびりと散歩を楽しんでいた。

 

『優くん、優くんとのおしゃべりも今日でおしまいだよ。』

 

「え?どういうこと?」

 

『お月さまとの約束なんだよ。

次の満月がきたら、優くんとのおしゃべりはおしまいっていうね。』

 

「そんな・・・。」

 

『ぼく、優くんとおしゃべりできて嬉しかったよ。』

 

「でも、ぼくはこれからどうしたらいいの?

アーシャがいなかったら、以前の自分に戻ってしまうかもしれない・・・。」

 

『優くん、優くんの人生を創るのはぼくではないよ。

優くん自身だよ。

ぼくにできることは、もうないんだよ。』

 

「でも・・・。」

 

『優くんは寂しいだけだよ。

大丈夫。

ぼくはいつもそばにいるんだよ。

いつも見守っているよ。

それにね、見守っているのはぼくだけではないよ。』

 

「え?」

 

『宇宙も優くんを見守っているんだ。

どんなときもね。

 
優くんは優くんの価値を信じて。

そして宇宙が見守ってくれていることを信じてほしい。

全ての人は宇宙に豊かな力と可能性を与えられているんだよ。

 

人生は素晴らしいものなのだと信じている人の人生は素晴らしい。

この世界は光で満ちていると信じている人の世界は光で満ちている。

 
優くんの世界はどう?』

 

ぼくはうるうるしながら答えた。

 

「光で満ちているよ。

それに感謝で溢れている。」

 

『ぼくの人生もだよ。』

 

「アーシャ、ありがとう。大好きだよ。」

 

ぼくはぎゅーっとアーシャを抱きしめた。

まーるいお月さまのしたで。