エピソード1
小さなテントが3つ。
ぼくが連れてこられたのはヒマダナ山脈という山。
ぼくはここで修行というものをするらしい。
うまやの羊羹は龍くんにもっていかれた。
偉い人が食べたがっていたんだって。
ずるいよ。
ぼくだって食べたいのに。
テントの下には石がいっぱいあってゴツゴツしている。
寝袋を敷いてもゴツゴツした石が背中に当たって寝にくい。
いつものふわふわのベッドがいい。
すごく狭いし、窮屈だ。
3つあるうちの真ん中がぼくのテント。
右にはうさぎ
左にはくまがいる。
くま・・・怖い。
でも、どうやら隣のクマは肉を食べないらしい。
でも、くまは夜中、ときどき叫ぶんだ。
うわーーー!って。
ぼくはドキッとして起きる。
なんて迷惑なくまだ。
うさぎはいつもヘラヘラしている。
きみの悪いうさぎだ。
とりあえずここにいる間は仕事を与えられている。
掃除。
買い出し。
お料理。
を3匹で順番でするんだ。
めんどくさいよ。
今日は初めて偉い人に会う日。
いったい、どんな人なんだろう。
偉い人の家はテントから歩いて3分ほどのところにある。
ぼくら3匹は偉い人の家へと向かった。
「ねぇ、うさぎくん、偉い人に会ったことある?」
「えへへ。僕もはじめてなんです。」
「ふーん。そうなんだ。」
「えへへ。くまくんはどうですか?」
くまくんは頷くだけ。
多分、くまくんもはじめて会うのだろう。
偉い人の家は、家というより洞窟のような感じだった。
でもちゃんと、インターホンがある。
ピンポーン。
『3匹の弟子よ。
よく、きたたぬ。
鍵は空いているたぬよ。
入りなさい。』
ぼくらは、緊張しながら家へと入った。
外は洞窟のような感じだけど、
中は普通の家みたいに綺麗だ。
ぼくらは家に入り、敷いてある座布団の上に腰を下ろした。
ぼくらの目の前には・・・たぬき??
『わたしはブッタヌキ。』
「え?豚??」
『違うよ。仏陀(ブッダ)のたぬきたぬ。』
「ブッダ?さっきブッタっていってたでしょ?」
『それは・・・たぬきと合わせやすかったからたぬ・・・。
ブッダヌキよりブッタヌキの方が呼びやすいたぬからね。
ごほん。
仏陀とは悟ったもの、真理に目覚めたもののことたぬ。
わたしは真理に目覚めた、ブッタヌキたぬ。』
「ふーん。
真理に目覚めた、ただのたぬきってこと?」
『ただの・・・。
目覚めてるって結構すごいことタヌよ?』
「それより、どうして3匹を集めたの?」