エピソード15-3「人生は「今」という瞬間の連続でできている」

 
『全てに対して「気付く」ことを大切に過ごしてみて。

朝、目が覚めたことに気付いて、その奇跡を味わう。

珈琲を淹れるとき、考え事をしながら、なんとなく淹れるのではなく、珈琲を淹れていることに気付く。

掃除をしているとき、掃除をしていることに気付き、感じ、味わう。

ご飯を食べているとき、ご飯を食べていることに気付き、感じ、味わう。』

 

「どうしてそれを大切にするの?」

 

『無意識に生きるのをやめて、意識して生きるためだよ。

人生ってね、「今」という瞬間の連続でできているんだよ。

過去と現在と未来は繋がっていて、流れているように見えるけど、そうではないんだ。』

 

「どういうこと?」

 

『動画は静止画の連続でできているって知っているでしょ?』

 

「うん。

学生のころアニメーションをつくっていたんだけどね、何枚も何枚も絵を描くんだ。

気が遠くなるほどにね。

その1枚1枚の絵を早く流すことでアニメーションができたよ。」

 

『人生もね、それと同じなんだよ。』

 

「え?」

 

『今という瞬間が1枚の絵なんだよ。

人は毎瞬、毎瞬、白いキャンバスに絵を描いているんだ。

「今」という瞬間が単体としてあって、それが繋がって人生ができている。』

 

「え〜!」

 

『無意識に絵を描くことはできる?』

 

「それは無理だよ。

絵を描くことに集中しないと良い絵は描けない。」

 

『人生もそうだよ。

意識しないと、良い人生を創ることはできないんだ。

 

いつも「今」という瞬間を大切にするんだ。

「今」「今」「今」の瞬間が繋がっているのが人生なんだよ。

 

「今」を意識するということは「今」に気付くということ。

それは「思考」の主人になるということだよ。

人は「思考」の主人になることで思考をポジティブなものに導くことができるんだ。

 

そのとき人は白いキャンバスにポジティブな絵を描く。

「今」という1枚の絵がポジティブなものになる。

そのポジティブな絵の連続で幸せなストーリーのアニメーションができあがるんだ。

その人の人生が幸せなストーリーになるということだね。

 

いつも「今」を大切にするんだ。

そのために気付くということを練習し続けてほしいんだよ。』

 

「うん。」

 

『それにね、今目の前にあるものに気付くことで、今自分がしていることに気付くことで、人の心は満たされる。

「今」という瞬間が心満たされるものならば、満ち足りた人生になるよ。

人はね、今していることや目の前にあることに気付いて味わっているとき、心が満たされるものなんだよ。』

 

ぼくは今まで無意識に生きてきたんだって思った。

無意識に生きてきたから、ぼくは望む人生を創ることができなかったんだ。

 

今の自分がしていることに気付いている人は、どのくらいいるかな。

きっと多くの人は自分がしていることに気付いていない。

自分がどこに向かっているのかも分かっていない。

ぼくと同じように。

 

「ぼく、無意識に生きるのをやめる!」

 

ぼくの決意は固い!

 

『優くん』

 

「なに?」

 

『ソフトクリームを食べない?』

 

湖には小さなお店があって、そこのソフトクリームが人気なのだ。

 

「・・・買ってくる。バニラでいい?」

 

『うん!バニラがいい!』

 

ぼくはソフトクリームを購入し、アーシャのもとへと戻った。

 

『ああ。イチゴもよかったな。

く〜。どうしてバニラって言っちゃたんだろう。』

 

過去を後悔しはじめるアーシャ。

ぼくはソフトクリームを小さなスプーンですくってアーシャに差し出した。

それをぺろっと舐めるとアーシャの目が輝いた。

 

『わあ。美味しい。

やっぱり、過去の自分最高。

バニラを選んだ自分、最高。』

 

忙しい犬だな。

 

「切り替えが早いね、アーシャ。」

 

『後悔していたって、過去には戻れないんだから、

今、目の前にあるバニラを楽しんだほうがいいでしょ?

ほら、優くんもやってみて。』

 

「なにを?」

 

『今、目の前にあるものを味わうんだ。

今、ソフトクリームを食べることに気付く。

口に入れたときの冷たさと甘さを感じる。

美味しさと幸せと感謝を味わう。』

 

アーシャに誘導されながらソフトクリームを食べる。

いつもは考え事をしながら食べていたんだと思う。

 

「あれ?ソフトクリームって、こんなに美味しかったんだ。」

 

『優くんは今日、はじめてソフトクリームを味わったね。

今、目の前にあるものを味わうということは、

目の前にある素晴らしさを繊細に大切に味わえるんだよ。

生きているって実感が湧くよ。

無気力でなんて、生きられなくなるよ。

心が満たされるよ。』

 

「なんだか人生って単純なんだな。」

 

『単純だよ。

この世界はシンプルなんだよ。

難しく考えすぎるから、心がいつまでも満たされないんだ。』

 

ぼくはいつだって、難しく考えすぎていた。

 

『優くん、まずはこの素晴らしい場所で、ソフトクリームを堪能しよう。』

 

ぼくらはソフトクリームを大切に味わった。

 
 

<幸せ脳のつくり方メモ>

・「今」目の前にある美しさを、素晴らしさを、奇跡を味わうことで心は満たされる

・全てに対して「気付く」ことを大切に過ごす

・人は「思考」の主人になることで思考をポジティブなものに導くことができる

 

<読んでくださる皆さまへ>

「」=優が話しています。

『』=アーシャが話しています。