エピソード16-4「自分が放ったものが、大きく膨らんで戻ってくるのが、宇宙の法則」

 
ぼくは車を止めて急いで展示会の会場へと向かっていった。

そこはオレンジ色の可愛らしい建物で、絵を展示する小さなスペースの横は本屋さんになっている。

本屋さんの店主がさまざまな国から自分の好みの絵本を仕入れ、売っているんだ。

学生の頃は何度も訪れていた。

 

「夢ちゃん、久しぶり。」

 

「え!優くん?すごく久しぶり。」

 

夢ちゃんの声は、相変わらず高い。

学生のころと全然、変わらない。

 

「今日、在廊する日だったんだね?」

 

「ううん、今日は違うよ。

土日に在廊する予定なの。

でも、なくなった雑貨の補充にきたの。

会えて嬉しい。」

 

「あのさ、犬がいて、小型犬なんだけど。

犬用リュックにいれて連れてきてもいいかな?」

 

「ちょっと店主に聞いてくるね。」

 

「ありがとう。」

 

少しすると夢ちゃんと店主がきた。

 

「おー優、久しぶり。

いいよー。連れておいで。」

 

店主の高良さんは絵本好きの渋いおじさま。

背はそんなに高くないのだけど、存在が大きい。

 

「ありがとうございます。」

 

ぼくはいそいで車に戻った。

 

「アーシャ、お待たせ。

一緒に行こう。

夢ちゃんがいたんだよ。

平日ならいないかなって思ったのに。」

 

『どうして夢ちゃんがいたらダメなの?』

 

「だって、ぼくはずっと夢ちゃんが妬ましくて、10年間、いちども展示にこなかったんだ。

SNSもフォローしないで見ないようにしていたし・・・なんか気まずいよ。

それに今でも本当は羨ましいんだ。妬ましいんだ。嫌な感情が湧き上がるんだ。」

 

『どうして、今日は来ようと思ったの?』

 

「わからないけど、なんとかして、この気持ちを乗り越えたい。

そうしたら何か景色が変わるかもしれない。」

 

『そうだったんだね。優くん偉いよ。』

 
「偉くないよ。結局、この気持ちは消えない。」

 

『夢ちゃんの絵をみて、たくさん褒めてごらん。

祝福と賞賛の言葉をたくさんプレゼントするんだ。』

 

「できないよ。」

 

『人に届けたものはね、自分に返ってくるんだよ。

人をたくさん褒めたら、たくさん褒められるような現実が宇宙から優くんに届くんだ。

人を応援するとね、応援されるような現実が宇宙から優くんに届くんだ。

人を祝福したら祝福が。

人を賞賛したら賞賛が。

宇宙から優くんにたっぷり届くんだよ。

自分が届けた以上の恩恵が、優くんに与えられるんだよ。』

 

「それは本当?

ぼくを慰めるために言っているの?」

 

『本当だよ。

自分が放ったものが、大きく膨らんで戻ってくるのが、宇宙の法則なんだ。』

 

「でも、それだったら自分のために褒めてるってことになるよ。

なんだか気が引けるな。自分のことしか考えていないみたい。」

 

『いいじゃない。それでも。

自分が心地良い気持ちになる。

相手も心地良い気持ちになる。

悪いことなんて、一つもないよ。』

 

「確かに・・・。

ぼく、今日はとことん褒めて、賞賛して、祝福するよ。

そしてこれからを応援する。」

 

『よし、行こう!』

 

夢ちゃんの絵は、夢ちゃんそのものだった。

きらきらして、優しい。

光の描き方がやわらかいんだ。

 

アクリルガッシュという絵の具を使っている夢ちゃんは、大胆に色を重ねていく。

それでも決して汚くならない。

不思議といつも重ねた色たちがお互いを引き立てていく。

他の人には真似できない、夢ちゃんの絵。

 
そして、そのことを素直に、そのまま夢ちゃんに伝えたんだ。

褒めて、賞賛して、祝福をした。

何度も。何度も。

 

伝えているうちにぼくは心から感動することができている自分に気付いた。

驚いたことに嫉妬も妬ましさも静かになって、心から夢ちゃんを賞賛していたんだ。

 

ぼくは心地良かった。

褒めるエネルギー。

賞賛するエネルギー。

祝福するエネルギー。

応援するエネルギー。

それは、こんなにも心地良いエネルギーだったんだ。

自分のことも幸せにしてくれるエネルギーだったんだ。

 

この気分を味わったら、もう嫉妬や妬みには、戻れないや。

 
夢ちゃんは嬉しそうに涙ぐんでいた。

ありがとう。

と何度も何度も言ってくれた。

 

「優くん、一緒におひるごはん食べにいかない?」

 

夢ちゃんのイラストが描かれたグッズを購入したぼくに、夢ちゃんが言った。

 

「アーシャもいるから、テラス席とかになってしまうけど・・・いいかな?」

 

「もちろん!」

アーシャも嬉しそうだった。

夢ちゃんもぼくの車にのり、テラス席のあるカフェに移動した。

アーシャはちゃっかり夢ちゃんの膝にのっていた。

 

「アーシャくん、なんて可愛いの。」

 

アーシャはかわいこぶるときに上目遣いをして片手をあげる。

そのポーズを夢ちゃんに向かってするアーシャ。

そんなアーシャに夢ちゃんはメロメロだった。
 
 

<幸せ脳のつくり方メモ>

・心地良い気分を大切に過ごしている人は、みんな波動が高い

・喜び、嬉しさ、感謝、幸せ、愛、調和

そういう光のエネルギーをもつ感情と繋がっている人の波動は高い

・高い波動と同調している人同士の会話は心地良い

・高い波動をもつ人は物質世界の自分と目に見えない世界の自分にズレがない

・全てに感謝して、全てを愛して生きる

すると物質世界の自分とエネルギーの次元の自分を調和させることができる。

・人に届けたものは自分に返ってくる

・人を応援すると、応援されるような現実が宇宙から届く

・人を祝福したら祝福が、人を賞賛したら賞賛が。宇宙からたっぷり届く

・自分が届けた以上の恩恵が与えられる

 

<読んでくださる皆さまへ>

「」=優が話しています。

『』=アーシャが話しています。