エピソード19「宇宙からの祝福、シンクロニシティ①」
ぼくは心地良い気持ちで過ごすことを何よりも大切にしていた。
最初のうちは「こんな単純でいいのかな?」と不安になって
疑いの気持ちに包み込まれそうになった。
でも、アーシャを見るたびに思い出すんだ。
ぼくの人生を創るのはぼくなんだっていうこと。
ぼくがぼくの人生の創造主なんだっていうこと。
そして幸せな人生は心地よい気持ちから創られるということ。
そのうちに心地悪い気持ちでいるのが勿体無いって思うようになった。
だって、心地良い気持ちでいたら、絶対に人生はよくなるって習ったんだから。
カフェを開くと決めてから2週間が経った。
ぼくは時間があればカフェを開業するための勉強をしていた。
調べてみると開業のための本もたくさんあるんだって気付いた。
ぼくはうきうきしていた。
どんな建物がいいだろう?
どんな家具をおこう?
どんな雰囲気にしよう?
犬も入れるカフェがいいかな?
メニューはどうしよう?
焼き菓子は家族や友人にしか食べてもらったことないけど・・・
カフェを開く前に家族や友人以外の人にも食べてもらえる方法はないかな?
そんなことをうきうきと考えていると
ふと馬渕さんのカフェに行こう。という考えが頭をよぎった。
迷いはなかった。
そうするのが良い気がした。
「次の休日に馬渕さんのカフェに行こう。」
そう呟いたと同時にスマートフォンが鳴った。
「もしもし・・・馬渕さん?」
「優くん、いきなりごめんねー。
今、大丈夫?」
馬渕さんからの電話だった。
「はい。大丈夫です。実は馬渕さんのことを考えていました。」
「そうなの?」
「次の休日に馬渕さんのカフェに行こうって考えていたんですよ。」
「おー。そしたらそのときに詳しく話したいんだけど・・・。
この前、優くんがくれたフィナンシェすごく美味しかった。
みっちゃんの分もありがとね。」
「わ。馬渕さんにそう言ってもらえると嬉しいです。」
「それでね、みっちゃんがね、優くんの焼き菓子を雑貨屋さんにに置きたいなって言っているんだよ。」
みっちゃんは馬渕さんのお嫁さんのこと。
雑貨屋さんを営んでいる。
面倒見の良い、優しい方だ。
「ぼくのお菓子を?でも・・・どうして?
馬渕さんの焼き菓子を置いた方が良い気がしますが・・・。」
「ぼくはカフェの仕込みで手一杯だからさ。」
「ぼくの焼き菓子でいいんでしょうか?」
「優くんのくれた焼き菓子、美味しかったんだって。
だから、たくさんの人に食べてもらいたいって思ったみたい。」
「嬉しい・・・。」
「それでね、次の休日って今週の土曜日でいいのかな?
ぼくのカフェでみっちゃんと打ち合わせしてくれる?」
「はい!!」
「時間はお店が落ち着く16:00ごろでいい?」
「はい!ありがとうございます。」
電話を切っても、ぼくの心臓は嬉しさでどきどきしていた。
『優くん、すごいね、シンクロニシティが起きたね。』
アーシャも嬉しそうに尻尾をふっている。
「ん?
その、シンクロなんとかってなんなの?」